取引先からの入金がない!貸倒れを経費にするために知っておきたいこと
目次
避けれない貸倒れ
こんにちは!石川県庁から車で5分の税理士事務所 たまの会計の玉野敦朗です!今日は貸倒損失についてお話ししたいと思います。
事業を行っていく中で、どうしても避けられないの、それが取引先に対する貸倒れです。
取引先が倒産するということもあるでしょうし、取引先の資金繰りが厳しく、払いたくても払えないという状況に陥ってしまったというもよくある話です。
今日はそのように避けられない貸倒れについて、どうすれば経費とすることができるのかお話したいと思います。なお、すべて法人税、つまり会社の経理に関するお話しとなります。
貸倒れには3つある
貸倒れが生じた場合、「貸倒損失」という勘定科目で経費計上を行うことになりますが、ここで問題になるのが、いつ貸倒れが生じたか?ということです。
じつは、この点については法律の定めはありません。法人税法基本通達というものがありまして、ここに規定されています。通達とは公務員の世界で上役が下役へ出す命令のようなものです。あくまで公務員の世界でのみ通用するものなので、必ずしも納税者が従う必要はありませんが、現実には税理士含めこの通達を参照しながら税務処理を行うことがほとんどです。
法人税法基本通達は、国税庁長官が各地の国税局長に宛てたもので、法人税法ついてこのように解釈してくださいという国税庁長官からの命令ということになります。
そして、その命令の中で貸倒れがどのように取り扱われているのかというと、まず貸倒れについては「法律上の貸倒れ」、「事実上の貸倒れ」、「形式上の貸倒れ」の3つに分類されています。
なぜわざわざこのように分類しているのかというと、税務署つまり国側としては納税者が好きなときに貸倒損失を計上されては困るという理由があります。例えば納税者が「今年は利益が多かったから2、3年前から入金のないこの売掛金、貸倒れにしよう」と考えてそれが可能になってしまうと、納税者側が利益を恣意的にコントロールできるようになるわけです。国としてはこういったことをしてほしくないので、貸倒れを3つに分類していずれかの貸倒れに該当した場合だけ貸倒損失を計上しても良いとしているわけです。
では具体的にそれぞれの貸倒れの種類について見ていきたいと思います。
法律上の貸倒れ
まず、「法律上の貸倒れ」ですが、これはその名の通り法律上、貸倒れが生じた場合です。
取引先側から見ればお金を支払う義務がなくなった場合とも言えます。
法律上の貸倒れのパターン4つ
具体的に次の4つの貸倒損失について経費計上してもOKとしています。
更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合
まずは
(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
です。
更生計画と再生計画というものが何かというと、経営に行き詰まった会社が、再建を目指し裁判所の監督のもと、その会社の利害関係者で話し合って決める会社再建のための計画のことをいいます。金沢市に本社を置く企業では2008年に真柄建設株式会社が民事再生法の申請をしていますね。その計画を策定する過程で債権の切り捨てというものが行われます。要するに、会社再建のためにあなたが持っている会社に対する債権を一部放棄してくれと言われるわけですね。上記の「更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定」というのは、この計画の認可を裁判所が決定することを指します。
特別清算にかかわる協定の認可の決定があった場合
2つ目が
(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
です。
特別清算というのは会社の倒産手続きの一つです。もう一つの倒産手続きとして「破産」というのもよく知られています。「特別清算」と「破産」は、根拠となる法律の違いなど、いくつか違う点もありますが、どちらも経営に行き詰まった会社を畳むための手続きというふうに理解してもらえばいいかと思います。
特別清算では協定というものを取り決めます。これは、会社と債権者との間で弁済できる債権は弁済すること、それ以外の債権については債権者側が免除するという約束です。
法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定があった場合
3つ目が
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
です。これも結局は(1)、(2)とほぼ同じですが、法律に定める手続きではなく、当事者間で話し合いをして、債権を放棄することになります。
債務者に対して債務免除した場合
最後が
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
です。
どういうものかというと、代金を支払ってくれない取引先に対して「もう支払わなくてもいいです。債権を放棄します」というお手紙を出します。民法519条にて「債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。」と規定されているので、お手紙を出したことで債権は消滅し、貸倒れとなります。
ただし、単にお手紙を出したからOKということにはなりません。条件として
- 債務者が債務超過の状態であること
- その状態が相当期間継続し、金銭債権の弁済を受けることができないと認められること
の2つを満たす必要があります。
債務超過の状態は、その会社の財産を時価評価した上で、債務超過であることを指します。そもそもの問題として、どうやったら取引先の会社が債務超過であることが分かるのか?ということもあります。
かなり難しいかもしれませんが、取引先の社長に債権放棄を検討していることを伝え、債務超過の有無を確認するために決算書を見せてほしいと言えば、相手にとってもメリットがある話ではあるので、対応してもらえる可能性はあります。
2の「相当期間継続し」という部分の相当期間が具体的にどの程度の期間なのか、これについては特に決められていません。ここにいう期間というのは、債権が回収できるように努力した上で、回収を断念せざるを得ないと決断するまでに要する期間なので、状況次第というところです。極論をいえば、半年の場合もあるでしょうし、10年という場合もあるかもしれません。客観的に誰が見てもこれだけの期間があるのなら弁済を受けることは無理と思える期間である必要があります。
債務免除する場合の注意点
債権放棄をすることで貸倒損失を計上する場合、上記の2つの条件を満たした上で、相手方に「債権を放棄します」とお手紙を送るわけですが、注意点がいくつかあります
送付したという事実について証拠を残す
債権を放棄したことにより貸倒損失を計上することができるわけですから、その債権を放棄したという事実について証拠を残す必要があります。
具体的には内容証明郵便にて債権放棄通知書を相手方に送付します。内容証明郵便であれば、書面の中身や送達の事実が確認できるためです。
ただし、内容証明郵便は一般書留になるため、相手方が不在であったり、受領を拒否するということもありえます。その場合の対応は次の通りです。
相手先に届かなかった場合
民法では、非対面の相手への意思表示は、その意思表示の通知が相手方に到達した時点で効力が生じるとしています。ここでいう到達とは、相手方の支配圏内に通知が置かれることを指し、相手方が直接受領する必要はないとされているため、極論を言えば、相手方の住所が分かるのであれば、相手方の住宅の郵便受けに直接投函しても法的には有効となります。
ただし、相手方の郵便受けに直接投函すると、意思表示をしたという証拠が残らないため、税務調査で指摘を受ける可能性があります。
では、どうすれば証拠を残せるのか。結論を言うと、内容証明郵便と特定記録郵便の合せ技で証拠を残します。
特定記録郵便は相手方が不在でも郵便受けに投函され、かつ配達されたことが記録に残ります。そこで、同じ内容の債権放棄通知書を特定記録郵便と内容証明郵便でそれぞれ送付します。ここで重要なのは、内容証明郵便で送付した方の債権放棄通知書に同内容の文書を特定記録郵便でも送付したことを書き添えておくことです。そうすることによって、送付した文書の内容と、その文書が郵送されたという事実について証拠を残すことができます。
相手先が行方不明の場合
取引先が夜逃げなどで行方知れずということも、珍しい話ではないと思います。この場合は郵送という手段は使えません。かなり特殊な事例ではありますが、この場合は「公示による意思表示」という手段があります。
裁判所に公示の申立を行うことで、債権放棄通知書が裁判所の掲示板に掲示され、その後官報に掲載されます。相当と認められるときは市役所等の掲示場に掲示されることもあります。
申立先の管轄裁判所は、相手方が行方不明となる直前の所在地を管轄する簡易裁判所となります。石川県内の簡易裁判所は地域ごとに5つあるので、興味のある方は下記のリンクから管轄の簡易裁判所を探してみてください。
https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/isikawa/index.html
公示の申立の費用ですが、印紙代と裁判所に予納する郵便切手代がかかります。印紙代は1,000円ですが、郵便切手代は管轄の裁判所ごとに異なるので、確認する必要があります。大体ではありますが、総額で2,000円程度と考えておけばいいかと思います。
「法律上の貸倒れ」については以上となります。では、次に「事実上の貸倒れ」について見ていきたいと思います。
事実上の貸倒れ
事実上の貸倒れの条件
事実上の貸倒れとは、債務者の資産の状況、支払能力等から、債権の全額回収ができないことが明らかな場合の貸倒れを指します。
この場合、上記の法律上の貸倒れとは異なり、法律上は債権は存在してはいますが、債務者側の状況から見て、その債権に価値がないと認められるため貸倒損失の計上が認められることとなります。
事実上の貸倒れの適用条件は「金銭債権についてその債務者の資産状況、支払能力等から、債権金額の全額が回収できないことが明らかであること」と回収不能であることが「明らかになった事業年度において、損金経理」することです。
もっとも重要なのが債権の全額が回収不能であることです。この点について、過去の例では回収不能であることについて客観的に明らかでなければならないとされています。具体的には、債務者の資産状況、支払能力等だけではなく、債権回収に必要な労力、債権額と取立費用の比較、債権回収を強行して生じた他の債権者との軋轢による経済的損失をといった債権者側の事情を踏まえて総合的に判断することになります。
この総合的な判断というのが厄介なところで、税務調査で否認されるリスクを考慮すると、なかなかこの事実上の貸倒れを適用するのは、勇気がいるというのが正直なところです。実務上は、上記の法律上の貸倒れの債務免除により貸倒損失を計上するケースが多いかと思います。
2つ目の損金経理とは「法人がその確定した決算において費用又は損失として経理すること」をいいます。簡単に言えば、帳簿上、経費として計上することです。なぜわざわざそんな条件をつけているのかというと、上記の法律上の貸倒れとは異なり、事実上の貸倒れの場合は、金銭債権が法律上消滅しているわけではないことから、貸倒れの事実を会社側が認識していることを記録に残すためかと思われます。
事実上の貸倒れが使いやすい場合
しかし、事実上の貸倒れが使いやすい場合もあります。それは取立先が破産した場合です。
取引先が破産手続を行った場合、最終的にその会社は消滅します。会社が消滅したわけですから客観的に債権の全額が回収不能であることは明らかなので、事実上の貸倒れが使いやすという面があります。
ただ、問題もあります。それは、破産手続きが集結するまでの期間が長期化する可能性が高いことです。破産手続きでは、債権者に対して配当が行われることがあります。つまり、債権の一部を回収できるわけですが、倒産した会社に配当できるだけの財産があることは稀なので、実際にはほぼ回収できることはありません。
では、どうするか?破産手続きでは弁護士が破産管財人として選任されます。破産管財人とうのは、破産した会社の財産を調べたりその財産を売却して債権に配当する人のことです。
ですので、この破産管財人は破産した会社の財産状況を把握しています。破産した場合、債権者に対して破産管財人が選任されたことが通知されますので、事実上の貸倒れを早く適用したい場合は、破産管財人に配当の有無について問い合わせるという手があります。
先述の通り、一般的に配当できるだけの財産があることは稀なので、「配当はありません」という回答になるかと思います。その回答があった時点で債権の全額が回収不能であることは明らかなので、事実上の貸倒れが適用できることになります。この場合、電話などで問い合わせて口頭で回答をもらっても、証拠として弱いので、可能であれば、破産管財人から配当は不可能であることについて、文書を出してもらうのがベストです。
形式上の貸倒れ
最後が形式上の貸倒れです。実務上はこの形式上の貸倒れを適用して貸倒損失を計上することが多いかと思います。なぜかというと、その名の通り形式上の貸倒れなので、形式的な点をクリアできれば貸倒損失が計上できるというメリットがあるからです。では、形式上の貸倒れについて詳しく見ていきたいと思います。
少し長いですが、形式上の貸倒れについて定めた通達を全文引用します。
債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9-6-3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。(昭46年直審(法)20「6」、昭55年直法2-15「十五」により改正)
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。
以下、通達の内容について詳しく見ていきます。
貸倒損失の計上が認められる場合
通達では、次の2つの事実が生じたときに、一定の要件のもと貸倒損失を計上することを認めています。一つ目が「債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合」、2つ目が「法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合」です。
債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合
「債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合」については、いつの時点から1年を経過した場合に該当するかが問題となります。通達では、「債務者との取引を停止したとき」、「最後の弁済期」、「最後の弁済の時」の3つを挙げ、いずれか最も遅い時から期間計算を行うこととしています。それぞれの起算日について具体例を挙げると、「債務者との取引を停止したとき」は取引先との最後の取引日、「最後の弁済期」は、契約書などで弁済期を定めている場合はその日、特に定めていない場合は、商品を納品またはサービスを提供した日となります。「最後の弁済の時」は、例えば、100万円の売掛債権があったとして、取引先に対する回収努力を重ねて10万円を回収できた場合に、その10万円を回収できた日となります。この中で一番遅い日から起算して、1年以上経過したか、否かを判断するわけです。
また、取引先との取引状況も重要です。通達の注書きにもあるように、この通達を適用するには、取引先が継続的な取引を行っていた債務者であることが必要だからです。つまり、単発の取引により生じた売掛債権については、債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合であっても貸倒損失を計上することができません。具体的には、一般消費者に対する不動産の売却などがこれに該当するかと思います。しかし、一部例外もあり、通信販売業において「一度でも注文があった顧客について、継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している場合」は、実際の取引が1回限りであったとしても継続的な取引に該当するものとされています。しかしこれは、通信販売業と業種の特殊性を考慮した限定的な取り扱いになるかと思いますので、例えば不動産業において「継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している場合」に該当したとしても、継続的な取引先と認められることは難しいのではないかと思います。
さらに、通達では「債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合」とあるので、取引先の資産状況と支払能力等を把握する必要もあります。
法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合
次に「法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合」についてです。「旅費その他の費用」には、具体的には債務者の所在地までの交通費及びそのそこに滞在するための宿泊費などが含まれます。これらの費用が債権額を上回る場合、当然ですが、取立てを行ったほうがむしろ損をするわけですから、貸倒損失の計上が認められることになります。注意点としては「法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額」となっているので、同じ地域に複数の債務者がいる場合には、その債務者全員に対する売掛債権の合計額が交通費等の費用の総額を下回っている必要があります。また、「債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合」とは異なり、取引が単発であったとしても貸倒損失の対象となりますし、取引先の資産状況、支払能力等が悪化している必要もありません。
対象となる債権
形式上の貸倒れは法律上の貸倒れや事実上の貸倒れと異なり、貸倒れの対象となる債権が限定されています。具体的には売掛金等の売掛債権と呼ばれる債権だけが対象となっており、貸付金といった金銭消費貸借契約に基づく貸付金債権は形式上の貸倒れの対象外となっています。その理由は、売掛金等の売上債権が貸付債権と比べて、入金が遅れた場合に、債権を確保するための手続きをとることが困難であるという点です。例えば、お金の貸し借りを行う場合、借りる側が、保証人を立てるなり担保を提供することは一般的ですが、商品の販売やサービスによって生じた売掛金などで、そのように債権を確保する手続きを行うことはほぼありません。そういった実情を踏まえて、売掛債権について、特例として貸倒損失の計上を認めたのが形式上の貸倒れとなります。また、「債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合」と「法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合」で若干、売掛債権の範囲が異なります。前者については通達で括弧書きにて「当該売掛債権について担保物のある場合を除く。」とされているため、例えば取引先から保証金の差入れを受けている場合には、貸倒れの対象となりません。ちなみに売掛債権について担保物がある場合に限定されるので、同じ取引先に対して売掛債権と貸付債権があり、貸付債権ついて担保が提供されている場合は、売掛債権については担保の提供がないので、貸倒れの対象となります。
経理要件
最後に経理要件について見ていきます。形式上の貸倒れの場合も事実上の貸倒れと同様に損金経理する必要があります。異なる点としては備忘価額を残す点です。
形式上の貸倒れを適用する場合、例えば10万円の売掛金を貸倒処理する際には、次に通り会計処理を行います。
貸倒損失 99,999円 | 売掛金 99,999円 |
この結果、売掛金のうち1円が残るわけですが、この残った1円を備忘価額といいます。備忘価額を残す理由についてですが、形式上の貸倒れの場合、形式的な基準により貸倒損失を計上するため、貸倒処理後に回収できる可能性がゼロではないので、回収できた場合は、回収金額を利益に計上する必要があります。そこで、備忘価額を残すことで貸倒処理の事実を残し、回収時に適切に会計処理が行われるようにしているわけです。
まとめ
以上が貸倒損失に関する税務処理の概要になります。貸倒れは事業を行っていく中で、いつかは生じてしまうものではありますが、まずは貸倒れを起こさない努力が一番重要であることは間違いありません。
それでも貸倒れが生じた場合には、このように貸倒損失を計上することで少しでも経営へのダメージを減らす努力をすべきかと思います。
今日のお話はこんな感じです。お読みいただきありがとうございました!